こんにちは、あとかです♪
最近、人気の「私の家政夫ナギサさん」(TBS系 火曜ドラマ)というドラマがあります。
とても面白くて、おじさんの私にしては珍しく毎週観ています。
多部未華子さん演じる相原メイという主人公は、「MR」という職業です。
画像引用元:https://www.tbs.co.jp/WATANAGI_tbs/chart/
また、「ラブ アンド ドラッグ(原題:”Love and Other Drugs”)」という映画があります。
タイトルはなんとなく、いかがわしい感じですが、普通の(?)洋画です。
アン・ハサウェイが出演していて、大ヒットはしませんでしたが、そこそこ知られている映画です。
この映画はノンフィクション「涙と笑いの奮戦記 全米セールスNo1に輝いた<バイアグラ>セールスマン」を原作としています。
つまり、主役は製薬会社のセールスマンです。
現在、日本でも製薬会社のセールスマン(営業担当)の事を「MR」と呼んでいます。
今回は、「私の家政夫ナギサさん」でもお馴染みの製薬会社のMRという仕事の誤解と真実についてご紹介します。
初回投稿日:2020年1月8日
2020年8月30日に、リライトしました。
画像引用元:https://www.tbs.co.jp/WATANAGI_tbs/
【医療ドラマでよく見る】MRって仕事、ご存知ですか?【誤解と真実】
MRとは?
「MR」はそのまま「エムアール」と読みます。
「Medical Represenntative」の頭文字を取っています。
意味は、「医薬情報担当者」です。
ざっくり言えば、製薬会社の営業担当者です。
昔の医療現場のことをご存知の方は、「プロパー」という呼称をご存知かも知れません。
医療系の映画やドラマなどでも、脇役、特に悪い存在として登場するケースが多いMRという仕事です。
昔は、確かにグレーな部分もあったと思います。
現在は、昔のイメージとは大きく異なってきていて、これ以上ないくらいクリーンな仕事になっています。
MRにとっての顧客とは、医師や薬剤師です。
患者さんに薬を処方する医療従事者に、良い点(効果)と悪い点(副作用)について説明することが仕事です。
では、薬学部など理系の出身者が多いかと言うと、実はそうでもありません。
文系学部出身者も、意外と多く働いています。
午前や午後の診療の最後の方になると、スーツを着て名札をつけた人たちが、待合室に座り始めるのを見られたことがあるかも知れません。
おそらく、それがMRさん達です。
診療の邪魔をするわけにはいきませんので、終わった後の時間帯がMRの訪問時間帯となります。
「ナギサさん」でもよく登場しますが、最近はタブレットPCの画面で薬剤等の情報を提供してます。
パソコンやパンフレットを山程カバンに詰め込んだMRさんは少なくなってきているかも知れません。
取り扱う薬について
前述の通り、MRにとっての「顧客」とは、医師や薬剤師です。
その薬を飲む「患者」さんではありません。
また法律で、実際に服用する患者さんに直接薬の効能について紹介したり、宣伝したりすることはできません。
例えば、TVの製薬会社のCMで「〇〇の症状に、思い当たる方は病院へ」というセリフが出てくると思います。
その際には、決して薬の名前が出ないと思います。
逆に、バンバン薬の名前が出るCMがあると思います。
「バファリン」とか、「アリナミン」とか、そう言った薬です。
薬には大きく分けて2種類あります。
OTC
マツモトキヨシなどのドラッグストアや薬屋さんで、店頭販売している薬のことです。
OTCは「Over the Counter」の頭文字で、カウンター越しに販売するという意味です。
「一般用医薬品」のことで、「大衆薬」や「市販薬」と言われることもあります。
TVなどでコマーシャルを放映している薬はこのカテゴリーに当たります。
一部薬剤師がいないと販売できない種類もありますが、基本的に医師の処方箋は必要ありません。
スイッチOTC
医療用医薬品として開発された薬が、OTC医薬品に転換(スイッチ)された製品のことです。
商品名で言えば、こうアレルギー剤の「アレグラ」「アレジオン」、消炎鎮痛薬の「ロキソニン」などです。
比較的強い成分の薬と言えるかも知れません。
医療用医薬品
病院、診療所で医師の処方でのみ販売できる薬です。
基本的にMRは、この医療用医薬品について、医師に自社の薬の情報を提供するのが仕事です。
一般向けのコマーシャルなどの宣伝活動は不可です。
医療用医薬品で、例えばインフルエンザ治療薬の「タミフル」「リレンザ」「ゾフルーザ」などは聞かれたことがあるかもしれません。
これはTVのコマーシャルをご覧になったのではなく、ニュースやワイドショーを見聞きしたり,新聞・雑誌等の記事で読まれたのだと思います。
一般向け雑誌に、広告も掲載できません。
昔々の製薬会社の営業
これは遥か昔の話です。
「プロパー」と呼ばれていた時代の製薬会社の営業が、医師に薬を売り込んでいました。
現在、薬の価格というのは、国が決めています。
それは、「薬価」と呼ばれ、我々患者は、いわゆる「定価」で処方された薬をを購入することになります。
処方薬に関しては、全国どこでも基本的に同じ価格です。
一方で、病院(薬局)では、もちろん仕入れ値があります。
単純に言えば、例えば100円の薬価の薬を80円で仕入れて、患者さんに売ることになります。
その際に、儲けのある薬をたくさん患者さんに処方した方が、病院側の利益が増えます。
そのため、昔は「飲めないくらい薬を出される!」という悪しきイメージがありました。
また、製薬会社同士も競争ですので、先に病院に大量に買ってもらうことで、同じようなライバルの薬を弾き出そうとします。
その際にとった作戦は「値引き」と「添付販売」です。
値引き販売(キックバック)
昔は製薬会社が、病院と直接仕入れ値の交渉をしていました。
例えば、100円の薬価の薬を80円で病院に買ってもらっていたとします。
営業「その薬を10000錠一度に買ってくれたら、1錠あたり10円キックバックしますよ!」と持ちかけます。
つまり、10円×10000錠=10万円です。
病院は10万円の差額が、丸々儲けとして手に入ることになります。
勿論、薬を置いていても仕方がないので、それほど必要でない患者さんにも、どんどん処方することになります。
添付販売
値引と似ていますが、仕入れ値はそのままで、無料でおまけを納入することです。
例えば、
営業「10000錠一度に買っていただいたら、1000錠つけて納入しますよ!」
と持ちかけます。
つまりは、おまけ分は丸まる病院の利益になります。
やはり、病院にその薬が大量にありますので、不要な患者さんにも積極的に処方されることになります。
接待
昔は、相当派手だったようです。
昼間の病院で見ないけれど、夜の街では大活躍する製薬会社の営業が沢山いたと、大袈裟かも知れませんが、聞きました。
医師に、個人的に飲ませ、食わせで、仲良くなることで、薬を買ってもらう交渉していました。
趣味に付き合うことも多く、ゴルフコンペを主催したり、釣り船をチャーターして海に連れていったり、そういったこともあったそうです。
そこには、薬の詳しい説明よりも、いかに他のライバル会社より医師と仲良くなって、購入してもらうかが重要でした。
これらのことは、実は、商取引ではよくあることです。
店頭販売では、お客さんが自分の意思で買いますので、あまりに過剰に納入しても、売れ残って、店が困ることになります。
ただ、薬の場合は、お医者さんから「この薬飲んだ方が良いよ」と言われたら、拒絶はしにくいと思います。
現在の状況
現在は、ほぼ完全にクリーンになりました。
営業ということも否定されつつあり、売り上げ目標や達成の評価もされない会社も出始めています。
実際に、近年は、売り上げの目標設定や、売り上げの多寡で評価しないように、厚生労働省がガイドラインを制作を始めました。
値引き、添付販売の禁止
まず、製薬会社に病院側と価格交渉ができなくなりました。
製薬会社から直接でなく、医薬品専門の卸が、納入する価格を交渉することになりました。
MRから、具体的な値引きの話や、添付するということもできません。
接待の禁止
接待は完全に無くなりました。
業界として完全に禁止事項です。
実は、製薬業界が接待禁止を実行した後、しばらくして、街中の高級料亭等が次々と閉店しました。
それだけ、派手に接待費を使っていた業界だったということだと思います。
薬を買わせるための行為は禁止となり、実際にできないような仕組みに変わっています。
飲酒、趣味などの、病院外での付き合いはほぼゼロになっています。
そのため、昔はほとんどが男性だったものが、最近のMRという仕事では、多部未華子さんのドラマの様に、女性の人数がかなり増えています。
女性の方が真面目で、学業も優秀な方が多いので、当然のことかと思います。
医薬分業
また、医薬分業も進みました。
要は、病院と薬局が分かれたということです。
最近、病院に診察に行くと「薬は外にある薬局で」と案内されると思います。
医師が、無駄な薬を患者さんに大量に処方し、利益を得ないようにする仕組みでもあります。
その代わり、医師は処方箋を書くと、報酬がもらえます。
まとめ
今回は、製薬会社の営業職であるMRについて、誤解と最近の実状についてご紹介しました。
昔は、確かにイメージの通り、悪徳セールスマンも存在していたのだと思います。
ただ、現状はかなりクリーンになっているというのが事実です。
医療系のドラマや映画には、時折MR(もしくは製薬会社営業)が出てくる場合があります。
流石に最近は減りましたが、昔のイメージのままのMRが暗躍するストーリーだと、少し冷めてしまいます。
MRの登場する作品では、医師でもある海堂尊さんの著作はやはり現実的なことが多いです。
「私の家政夫ナギサさん」の描写も、結構リアルだと思いました。
(もちろんドラマ的な誇張や演出もありますが)
次回は、いよいよ最終話ですね!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
それでは、また次回。