世間は、「初売りセール」で賑わっていますね。
個人的なことですが、この時期になると思い出すのは、お年玉を抱えて、初めて自分で買った大きな買い物のことです。
その大きな買い物とは、「パソコン」です。
パソコンと言っても、何十万円もする大人も使えるようなものではなく、「MSX」と呼ばれるホビーパソコンでした。
今回は、私のような、当時の子供達が夢中になった「MSX」について、書きたいと思います。
同世代の方でも、懐かしい方にはすごく思い入れがあり、そうでも無い方は「なんだそれ?」という感じかもしれません。
MSXって、何?
1980年代始め、家庭にパソコンが入り始めた黎明期、ホビーパソコンで「MSX」というものがありました。
Windowsはまだ存在せず、Macは「マッキントッシュ」と呼ばれていた頃です。
当時のパソコンと言えば、NECのPC88シリーズ、シャープのX1、富士通のFM7が、御三家と言われていました。
ただ、そういったパソコンは大人向けで、価格も何十万円もして、小学生だった私の手の届くものではありませんでした。
子供達にも手に届くパソコンが、「MSX」でした。
MSXとは、そのまま「エム・エス・エックス」とよび、アメリカのマイクロソフト社と、日本のアスキーという会社が提唱した、パソコンの共通の規格のことです。
規格に沿っていれば、どのメーカーからでも発売できる統一の規格のことです。
簡単に言えば、今のWindowsと全く一緒の考え方です。
当時のパソコンは、プログラムなどのソフト面も、差し込み口などのハード面も、各メーカーごとに全く違っていました。
今なら、USBの端子につなげるキーボードやマウス、エクセルやワードなどのソフトも、どのメーカーのWindowsパソコンでも使えます。
その統一規格のスタートとして、提唱されました。
そのため、MSXパソコンは、パナソニック、ソニー、日立、東芝、ヤマハ、カシオ等、様々なメーカーから、発売されています。
MSXの特徴
子供向けのホビーパソコンという位置づけで開発されました。
カートリッジスロット
ファミコンのカセットと同じく全てのMSXには、カートリッジの差し込み口が標準装備されていました。
ゲームソフトは勿論のこと、メモリの拡張、漢字ROM、音楽演奏用のキーボードとの接続等、何にでも使われていました。
自分でプログラムを作って遊べる
MSX BASICという、簡単なプログラム言語で自分でプログラムを作ることができました。
頑張れば、ゲームだって自分で作ることもできました。
また、当時は全国からゲームプログラムを募集し、それを掲載した雑誌がいくつもありましたので、それを打ち込むだけで、同じゲームが遊べました。
他のパソコンでもできましたが、MSXはホビー用という性質もあり、比較的ゲームプログラムを作るのに向いていました。
ファミコンで、出来上がったゲームをするのではなく、自分で作ることができるのはものすごく楽しい作業でした。
MSXの種類
MSX参入メーカー(一部)
最初のMSX規格です。便宜上「MSX1」と呼ばれることもあります。
1983年に登場しました。
ソニー
ブランド名:「HitBit」
CMキャラクター:松田聖子
MSX内でトップシェアだったそうです。
松田聖子さんのCMで「♫ひとびとのHitBit♪」というキャッチソングが耳に残ります。
東芝
ブランド名:パソピアIQシリーズ
CMキャラクター:横山やすし・木村一八
CM-TOSHIBA-PASOPIA-IQ-MSX-東芝-パソピア-IQ-MSX
日立製作所
謎の(?)キャリングハンドルがついている機種がありました。
MSXを外に持ち出す意味はさっぱりわかりませんでした。
CMキャラクター:工藤夕貴
CM 日立製作所 MSX 日立パーソナルコンピュータ H3 1985年
富士通
ブランド名:FM-X
CMキャラクター:タモリ
松下電器産業(現パナソニック)
ブランド名:キングコング
CMキャラクター:キングコング
松下電器(ナショナル/パナソニック) MSX キングコングvesvesCF 3000 FS A1 CM
カシオ計算機
最後発で、他社との差別化のために低価格路線で参入しました。
CMキャラクター:山田邦子/佐倉しおり
CASIO MSX PV-16 CM 1985年 佐倉しおり
MSX2/MSX2+
1985年から発売開始となりました。
ファミコンに比べると、貧弱だったグラフィックや、音楽面を改善しました。
おり悪く、スーパーファミコンが発売となり、また水を開けられることになりました。
MSX turboR
MSXの最終型としての規格です。
1990年に松下電器産業(現パナソニック)から1機種のみ発売されました。
ゲームソフト
ファミコンのゲームソフトを開発していたメーカーが、それぞれMSXのソフトも作っていました。
ファミコンと同じタイトルのものも沢山ありました。
ただ、スペックの違いで、残念ながらMSXの方がどうしても見劣りすることが多かった印象です。
私の所有していたゲームです。
- コナミ「イーアルカンフー」「グーニーズ」
- ナムコ(現 バンダイナムコゲームス)
- タイトー「フロントライン」
- エニックス(現 スクエアエニックス)「ドアドア」
- タイトー「エレベーターアクション」
まとめ
30年以上前、「パソコンが、これからの世の中を変えるんだろうなぁ」という漠然とした期待感を、子供ながらに感じていました。
そんな私たちの入口として、一時期「MSX」があったのは間違い無いと思います。
今となっては、パソコンはおろか、スマホがあれば何でもできる世界になりましたね。
お正月になると、自分で買った「MSX」を抱えて、自宅に帰る電車内のことを今でも思い出します。
あの時以上に、何かを買って嬉しかったことは、思い出せません。
最後までお読みいただき、ありがとうざいました。
それでは、また次回。